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ライスバレーへの道のり

「持続可能な農業は芸術である」

自分たちは、コンテンポラリーアーティスト(現代美術家)として、主に環境問題をテーマにさまざまな作品を制作してきました。そういった作品制作をしていながら実生活が伴っていない矛盾を抱えていた昨今、衝動的に移住した過疎農村で、運命的に農業をやることになりました。

とはいえ、二人とも都会育ちで農業など全くのド素人が、地元農業委員会役員数十人を前に農家資格取得の面接に挑みました。まるでリアリティTV番組さながらの状況に、これは間違いなくアートプロジェクトであると強く感じました。

プロジェクトのコンセプトは「大地の生態系を取戻す」「サバイバル(自給自足)」「自然栽培(農薬、除草剤、化学肥料全く使わない農業)」の三本柱。今まで作品制作の度に、現地調査や、その環境問題に詳しい研究者の説明を聞いたりしてきましたが、百姓の生活を実体験するにつれ、不思議と様々な角度から捉えていた問題が、より鮮明に頭の中で繋がっていくという不思議な体験をしました。

百姓の語源は、百の姓(職業)を持つ民。つまり何でも屋。近代化で分業制が浸透した今日では、スペシャリスト重視ですが、江戸時代の百姓はつまり今で言う兼業(と言っても一つ二つどころじゃない。)、大工から神職まで様々な顔を同時に持っていたそうです。つまり一人、百の役を担いながら農を通して世界と繋がっていたということです。自分たちもそういった達観した目で世界を見たいと。